地域活性化特別セッションを開催しました

 キーノートスピーチをNTTデータ経営研究所アソシエイトパートナー桑島様より、「かせぐまちづくり」をテーマにしたワークショップをフィールド・フロー株式会社渋谷社長よりお話いただきました。

キーノートスピーチ


将来の地域銀行としてのコンテクストバンク
~データドリブン社会への進展が加速する中で~
株式会社NTTデータ経営研究所グローバル金融ビジネスユニットアソシエイトパートナー 桑島 八郎 様

 みなさんは将来の地域金融機関のあり方を想像できるでしょうか。地域金融機関は地域経済のハブとして生き残るべきではないかと、NTTデータ経営研究所の桑島氏よりお話しいただきました。
 コンテクストバンクとは、様々な外部サービスと繋がり、ユーザーが最適な意思決定を行なえるようサポートする仕組みのことです。既にヨーロッパを中心に概念としては普及してきており、金融に留まることなく様々なサービスがワンストップで利用可能な姿を目指しています。その結果、各種のデータが集まってくるようになり、そのデータを活用することでパーソナライズされたサービスを提供できるという好循環を実現することが期待されています。
 日本において誰がそのプラットフォームを形成するに相応しいでしょうか。ユーザーに選ばれるために必要な要素はワンストップで使いやすいサービスであることは当然として、高い信頼性が必要となることから、これまで地域での信頼を築いてきた金融機関であるべきではないか。
 そして地域金融機関が地域コンテクストバンクを提供するには、GAFAのようなユニバーサルサービスのみではなく地域特有のデジタルサービスとの連携が不可欠になってくると桑島氏は言います。
 そのためには3つのステップを踏む必要があります。1ステップ目はユーザー獲得、つまり地域の個人・法人・自治体のデジタル化推進です。まずはデジタルサービスを提供する簡易なマッチングサイトのような形態をとることが重要です。2ステップ目は様々なサービス提供者との連携によるエコシステムの形成です(※)。3ステップ目は地域に係るデータを蓄積し(AI)分析結果等の提供といったサービスにより、地域のプラットフォームとしての存在感を出すことです。こうして地域特有の課題を解決するサービス提供者が現れたり、相互で補完し合う関係性が生まれ、地域自体が好循環による成長が見込める世界を実現しようという考えです。決して簡単なものではありませんが、GAFAのような巨大なサービス提供者だけでは不可能に近い。地域金融機関だからこそ実現できる姿かもしれません。
(※)地域のデジタル化に資する各種サービス事業者(ex.EC、MaaS、シェアリング等)とAPI連携を図ります。

ワークショップ


 かせぐまちづくり
 ~「おもてなし規格認証」を活用した地方創生実践モデル~
 フィールド・フロー株式会社代表取締役 渋谷 健 様

 「なぜ地方創生はうまくいかないのか?」冒頭に渋谷氏から参加者に問いかけがありました。人口減少社会に突入して地域によっては「まち」として消滅するか進化するか選択を迫られる時代になってきています。進化するための「まちづくり」はどうやっていけばいいのか。その解決策の一つとして「おもてなし規格認証」を活用した地方創生実践モデルについて、渋谷氏がファシリテーターとなってワークショップを開催していただきました。
 フィールド・フローが提唱する「かせぐまちづくり」とは、その地域の民間事業の活性化を通じ地域課題解決と価値創出を持続的に推進するモデルであり、既に実践されている代表的な事例として、神奈川県の横浜中華街、兵庫県の城崎温泉、宮崎県の油津商店街北九州市のコワーキングスペース秘密基地、宮崎県のスポーツ・ヘルスケアビジネス創出が紹介され、成功している共通点について議論しました。共通点はコンダクターシップ=オーケストラでいう指揮者的なまとめ役としてのの存在と、地域の核となる民間事業者、地域の金融機関、高い専門性を有するプロ人材の3者が協力し合うことが重要です。渋谷氏はそのためのこれを「友達最強」が最も重要なキーワードとして「友達最強」を掲げています。だと。
 では誰が「かせぐまちづくり」の中核を担うコンダクターシップの提供者となるべきなのか。渋谷氏は地銀だからできるアプローチがある、「おもてなし規格認証」の活用だと説明します。「おもてなし規格認証」はインバウンド等の機会を活かすため、主にサービス業における生産性向上と地域経済を盛り上げることを目的に経済産業省が創設しました。この認証を取得することで、ブランド力向上やサービス品質の保証、また日本政策金融公庫の融資や助成金獲得が有利になるといったメリットがあります。地銀が、地域企業に「おもてなし規格認証」取得を薦め、取得に必要となる地域企業の経営高度化等について持ち前のコンサル力/ビジネスマッチング力に加え、必要なデジタルツールの紹介/導入をサポートし(=コンテクストバンク)、(助成金の獲得に加え)本業である資金支援を実施する、つまり地銀が中心となって、地域企業と一緒に、「まち」の社会システムをデザインするというものです。ワークショップにて、参加者を含めて、「かせぐまちづくり」の実践における地域のコンダクターシップの提供者は地銀がベストなのだと、認識を新たにしました

まとめ

 今後の地域金融機関のあり方について考えさせられる講演とワークショップでした。各々で違う地域を担当する地域金融機関は、今後それぞれの地域におけるコンテクストバンクとなり、「友達最強」をキーワードに連携することで、日本全国の持続的な発展に貢献していくべきではないでしょうか。